紺碧のSpielplatz

ボードゲーム、カードゲーム、アナログゲーム、ときどき独り言

K2 ケーツー(K2)

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世界で2番目に高い山...K2

カラコルム山脈の凍り付いた静けさにアイゼンのきしむ音がひびく。
疲れはてた手は必死にピッケル氷壁へ打ち込む。
ザイルを通して、仲間が重い体をひきずるように登ってくる息づかいを感じる。
頂上まで、あと100m…あと50m…K2は、人類が登頂に成功した8000m級の山々のなかで最も難易度が高いであろう。
ついに燦然たる日の光のなかに立つ…
そして、テントが張られた安全な場所に目を落とす…
でも、テントに戻るには下山ルートで吹き荒れる雪嵐を乗り越えなければならない。
無事に下山できるだろうか?

No.281

・K2 ケーツー 第2版(K2 2 Ed.)

・Adam Kaluża作

・REBEL.pl / Heidelberger Spielverlag

・10歳から

・1人から5人

・時間…60分

・日本語化…必要ありません

「K2」は2010年発売で、しばらくするとあちこちでおもしろいと評判になりました。
2012年のKennerspiel des Jahresにもノミネートされ、わたしも遊んでみたいっと思いましたが、ずっと品薄。
ようやく手に入った「K2」は、第二版(2 Ed.)と書いてありました。
最近、拡張も入ってビックボックスとして再販されています。

「K2」の目的は、頂上まで登って、ちゃんと生き残ることです。
頂上まで登っても登山家が死んでしまったら、1得点しかもらえません。
全部で18日(18ラウンド)行い、登山家たちをより頂上近くまで登らせたプレイヤーの勝ちです。

ボードは夏山(初心者)と冬山(上級者)があります。
各プレイヤーは、同じ色の登山家(2種類×2人)、テント(2つ)、順応性マーカー(2つ)、順応性ボード、カードセットをうけとります。
順応性ボードの1に、順応性マーカーをおきます。
登山家は、ベースキャンプに2種類、得点マーカーとして残りをボード左はじの得点ますの1番下におきます。

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天候タイル、リスクマーカー、登山家、スタートプレイヤータイル、順応性ボード

天候タイル(夏バージョンと冬バージョン)はよくきって2枚表にし、1番左端に天候マーカーをおきます。
リスクマーカーはすべて裏返しにしてよく混ぜ、3枚表にします。

1日(1ラウンド)は、以下の順番に行います。

1.カードを選びます
2.リスクマーカーをとります
3.アクションを行います
4.順応度を調整します
5.ラウンド終了

1.カードを選びます。
各自カードはよくきって、裏返しに積み重ね自分の山札とし、上から6枚を手札にします。
そのなかから3枚選び、各プレイヤー同時に表にします。

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上からザイル、順応性、移動カード

2.リスクマーカーをとります。
1で出したカードの緑の数字をすべて足し、1番多かったプレイヤーは、表になったリスクマーカーから1つ選んで、自分の前におきます。
ザイルカード(2つの数字がかかれているカード)は登りの数字を足します。
リスクマーカーを1つ表にして、常に3つ表になるようにします。

3.アクションを行います。
スタートプレイヤーから順番に、出したカードを使ってアクションを行います。

カードの数字は…
緑の数字…移動できる数
青い数字…順応度
です。

また、ますと天気タイルにある数字は…
青い数字…順応度
赤い数字…体力消耗
黄色い数字…移動に必要な数
です。

アクションを行うときは、天候の影響を受けるので、天候に注意します。

〇移動する(緑の数字)
1枚のカードの数字を登山家2人にわけて使うことはできません(たとえば、緑の数字2のカードを使って、両方の登山家を1ますずつ登らせることはできません)。
数字はすべて使い切らなくてもかまいません。

緑の数字を使って移動するときは、何もかかれていないますは1、黄色の数字がかかれているますはその数が必要です。
ボードに人数によって1ますに何人までいられるか、かかれています。
定員いっぱいに登山家がいるますでも、通過することはできます。
必要に応じて、登ったり下りたりできます。
ザイルカードは、下るときのみ下りの数字がつかえます。
それ以外は登る数字をつかいます。

〇テントをはる(緑の数字)
ますにテントをはるときは、何もかかれていないますは1、黄色の数字がかかれているますはその数が必要です。
テントをはるときは、その登山家のテントをはります。
一度はったテントは、ゲーム終了までそのますにおかれます。
自分のテントでなくても、同じ色の登山家はそのテントを利用することができます。
テントは1ますにいくつでもはることができます。

〇順応性を上げる(青い数字)
青い数字は、順応性を上げることができます(ただし、1枚のカードを2人の登山家に分けることはできません)。
上げたい登山家の順応性ボードにあるマーカーを、青い数字ぶん上げます。

出したカードを使ったら、自分の登山家が旗のあるますに到達したかどうか確認し、到達していたら、得点ますにある同じ登山家こまを同じ旗のあるますに移動させます。
得点ますの登山家は、登山家が下山しても得点計算のために最高到達地点残しておきます。

また、リスクマーカーを受け取ったプレイヤーは、0だったら何も起きませんが、
1だったら...
・移動の緑の数字から1点引きます
・順応性の青の数字から1点引きます
・順応性表から、この手番にカードを使った登山家の順応性を1つ下げます
の3つから1つ選んで実行しなければなりません。
2だったら、1と同じようにして2点引かなければなりません。
それぞれ組み合わせて合計で2点引きます。
2人の登山家からそれぞれ引いてもかまいませんが、点数をひけるのはこの手番でカードを利用した登山家だけです。

天候の影響を受けます。
天候マーカーののった天気を確認します。
そこにはどの標高に影響するのか(ちょっと見づらい)がかかれています。

→赤い数字…指定された標高にいる登山家の順応性マーカーを書かれた数字ぶん下げます。
→黄色い数字…指定された標高にいる登山家がこの日(ラウンド)に移動するときは、通常の数プラス黄色い数が必要になります。

4.順応性を確認します。
登山家がいるますを確認します。
登山家のいるますに…
青い数字…その登山家の順応性マーカーを書かれた数字ぶん上げます。
赤い数字…その登山家の順応性マーカーを書かれた数字ぶん下げます。
テント…同色のテントなら、その登山家の順応性マーカーを1つ上げます。

この時点で、順応性が7以上ある登山家は順応性マーカーを6に戻します。
順応性が足りなくなった登山家は、死んでしまうことになります。
その場合は、その登山家をボードから取り除き、対応している得点ますにある登山家を1番下のます(1の旗のます)に戻します。

5.ラウンド終了
スタートマーカーを左隣のプレイヤーに渡します。
天候マーカーを1つ動かします。
各プレイヤーは、手札を3枚補充します。
補充するカードがない場合、そのラウンドはこの3枚だけで行います。
すべてのカードを使ったら、カードをよくきって山札を作ります。

これを18日(ラウンド)行います。
得点ますにある登山家の旗の点数を計算し、1番多かった人の勝ちです。

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左側にあるのが得点ます

天気のいい午後に、1号、2号、わたしの3人でプレイ。
ルールは多少多めではあるけれど、自然なのですんなり理解できる。
要は、複雑になったレースカード式すごろく(笑)。
ざっと説明して、スタート。
まずは夏山+夏バージョン天気でチャレンジ。

まずは天気をチェック。
初日はなんと雪、2日目も雪で、3日目快晴…
でも、初日の雪の影響は8000m以上のみ。
…だったら、とりあえず行けるところまで行こう…かな?
緑のカード多いし、今はリスクマーカーに0があるので、飛び出してもあんまり痛くないし(笑)。
案の定、わたしが緑の数字最大。
2号「でも、0じゃん、よかったね」「もう、緑のカードしかなかったから焦ったよ」…リスクマーカーをめくると、今度は2。
げー、これは欲しくない…(笑)。

全員青の1のあるますで待機。
天気の影響はなく、全員順応性が上がる。

そして2日目。
雪の影響は7000mからなので、全員懸命に登る(笑)。
6000m以下なら1ますに3人登山家がおけるので、そんなに悩まない。
みんなでかたまって移動する感じ、なかなか雰囲気があります。

3日目…ようやく快晴。
ここで一気に行きたいんだけど…そのあと3日連続で悪天候
…だからって、天気よくなるまで待ってたら登頂はたぶんムリ。
とにかく1人は進めたいな…

スタートプレイヤーだった1号は、登山家をちゃっと登らせて、テントまではる。
わたしもちゃんと計算してカードを出したけれど、リスクマーカーの存在を忘れていたため、マイナス1点くらう...
うっそー、えーっ、計算合わなーいっ←バカですか?

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丸腰な気分…

仕方がないので、気分的には丸腰(笑)で登るだけ登らせて、テントはナシ。
くっそー…次はテントが張りたいよーっ(笑)。
2号は、カードが青ばっかりだったらしく、あまり進まず。

そして悪天候の4日目…
1号が「これさ、よく見たら6000mから頂上まで全部マイナス1ってことじゃん」といい、2号は「えー、じゃあ6000m以下で待とうかな…」と弱気(笑)。
わたしが「でも、その次の日は7000m以上からでしょ…うーん…」と言えば、「でもさ、あんまり待ちすぎても頂上行けないよね」と1号。
…そう、そこなんだよー(笑)。
なんかもうすでに酸素ボンベが必要な気分(笑)。

仕方がない、ここはまずテント(笑)。
丸腰(笑)で登らせてしまった登山家にテントをはらせ、もうひとりは6000m以下で待たせることにする。
ふふん、しっかり1でテントをはれる場所を狙う(笑)。
「ずっりー、そこにテントはりたかったのに!」と2号がいうので、「あ、テントは1ますにいくつでもおけるよ?」といったら、「よかったー、1号もままも1のところにテントはっちゃうんだもん」…まかせろ、倹約登山家家族(笑)。

6000mを越えると、そのますにいるだけで順応性がなくなるので、常に登山家の順応性マーカーに気を配る。
…でも、6日目はカードを選べない!!
そう、カードは全部で18枚…ということは、1日3枚使って6日目は残った3枚で勝負しなきゃいけないことに6日目になってから気がつく…
5日目に何も考えず、必要なカードを引っこ抜いた自分に説教したいーっ(笑)。

やはり、そこまで考えてなかった1号がボーゼン…親子だな(笑)。
「だめだ、これ、死ぬかも…」…すると2号も「うん、死ぬわ、これ」…わたしは…かろうじて1枚青のカードあるけど、この状況は予想してなかった…
2人とも「別に下山してもいいんだよね?」と言うので、もちろんというと、2人ともいそいそと下山…ぎりぎり順応できたけど、6日目、12日目、18日目は気をつけないと…

しばらく悪天候が続いて、なかなか登れなかったけれど、ようやく3日連続快晴!
ここぞとばかり3人とも山頂を目指す。
「天気がいいと、ほんっと進みやすいよね」と言うと、1号が「この天気、うまくできてるよね、ホントの登山もこういう感じだよね、きっと」。

そして、とうとう山頂にたどり着く!
これ、マジでばんざーいって感じ(笑)!

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ばんざーい!!

ただ、それも一瞬(笑)。
だって、山頂付近はそこにいるだけで、順応性3つもなくなるから長居は無用(笑)。
さっさと下山…ザイルカードはどこだ(笑)。

下山するにも、手札にちょうどいいカードがなかったので、わたしの登山家は1ます降りただけで止まる。
すると…手番がわたしの次だった2号の息が止まる!
「ちょっと、まま、なんでそんなとこで止まるの?降りるなら2,3ますぐらい一気に降りてよ!」と言われて…あ。

…そう、わたしはそのつもりはなかったものの、2号をブロックしてしまった!
2号もまた、1ますだけ登るつもりだった…でも、8000m以上では1ますに1人しかおけない!!
うっわー、これもすごいっ!

2号、仕方なくそこにテントをはる(笑)。
「信じらんない、まさかとは思うけど、頂上にテントはったりするつもりじゃないよね?」とめちゃくちゃ根に持たれました(笑)。
ごめん、ほんっとに、そんなこと考える余裕も能力もないから(断言)。

そんな感じでどんどん進み、18日終了。
勝ったのは、わたし、以下1号、2号。

これは、すごいっ!!
あれだけ話題になったのがよく分かる!
めちゃくちゃおもしろーいっ!

ルールが多めなので最初は戸惑いますが、流れが自然なのですぐ覚えられるし、そうなるとゲームにどっぷりハマれます(笑)。
1号も2号も「すごいね、これ、登山の苦しさとか大変さがすごくよく表現できてる!!」と感動してました。

天気が悪くなる前に少しでも先にすすみたい、でも体力は大事というバランス感がすばらしい。
なにより「死んだら、それまで登った分もチャラ」っていうのがイイ(笑)。
つまり、登るだけじゃなくて、生きて帰ってこなきゃいけないわけです。
生きてナンボ、っていうの、わたしはすごく好きです。

そして下山するにつれて、ホントに体がラクになるんですよ。
まさに、登山してる気分(笑)。
アイゼンもピッケルも持ってないけど(笑)。
テントのますに登山家が戻ると、そこでもばんざーいって気分になります。

ちなみに、アイゼンもピッケルも元はドイツ語。
でも、アイゼン(Eisen)は鉄という意味です。
日本語のアイゼンにあたるのは、Steigeisenといいます。
ピッケルも、正確にはEispickelといいます。
登山分野って、ドイツ語がそのまま使われている言葉が多いんですよね。
寝袋のシュラフは、ドイツ語のSchlafsackの頭の部分だし。
つえをストックっていいますが、ドイツ語はStock(発音は、どっちかってーとシュトックって感じ)です。
こちらのアウトドアショップに行ったとき、「えー、これってドイツ語だったの?」とびっくりしたことがありました(笑)。

…って、また話がそれましたが。
それにしても、このシステム、よく思いついたよなぁと思います。
これなら、拡張マップが出るのも当然。
拡張の「ブロードピーク」は、ちゃんと購入してあるので(笑)、早く遊びたいです。

 

☆今日のありがとう☆

その1
買い物から帰ったとたんに、雨が降り出しました。
ぬれずにすんで、助かったー!

その2
昨日書き忘れましたが、パウンドケーキは大好評でした!